僕はある飲食店会社で複数店舗を統括する上位役職を10数年間やってきましたが、ある時に役職から外されてしまい(降格です)自分が統括する店舗や部下組織を持たない状態になりました。
なぜ外されてしまったのか、何が悪い思考や意識だったのか
今だから気付けた事を書いてみようと思います。
きっかけ
僕は会社の中でも売上・利益ともに大きい責任をもった組織のトップに就いていましたが、ある時期から『評価が悪くなっている』と思うようになったきっかけがありました。
それは
①突然、会社で同じ役職者であるA氏の組織の店舗に行って勉強してこいと言われた
この時には、なぜ他の組織に行って勉強しないといけないのか?と色々考えましたが、これは上司から悪い評価をされているかも?と考え始めた初期段階でした。
②自分で育てていった組織が分割され、大部分は他の人の組織になってしまった
これは①の1年後に起きた事でやっぱり評価が悪くなっているのだとはっきり認識した出来事でした。
それからの僕は上司から悪く思われているという恐怖から「降格するんじゃないか」「給料が減るんじゃないか」と不安になる状態が起きました。
評価されたい罠
僕の家庭は妻と1歳と2歳になる年子の子供が2人いましたのでこれからの生活の事も考え、収入が減ったらこれからどうしていけばいいんだ、という恐怖心がありました。
評価するのは上司だから認めてもらうように努力しよう、自分の考え決断は間違っているから上司の正解に近づけるように努力しようと、強烈に意識していました。
上司のイエスに応えるようにやっていた僕は、まるでブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるような感覚で自分に嘘をついているような状態でした。
本音で言うと本当はこうするべき、こう判断するべきだが、上司はノーと言うだろうから自分で決断した行動はやめようと思いました。
僕は牙を抜かれた猛獣、翼を失った鳥状態だと当時の部下につい漏らしてしまった時もありました。
そして時間とともに自分の決断は間違っていると思い込み過ぎて自己否定するようにもなりました。
「自分は能力が無い」「ズレている」「時代に合っていないできない奴なんじゃないか」と。
自分で決断してはいけない、上司にお伺いを立てないと何も行動できない。
この状態がまさに、『何が正しいかではなく誰が正しいか』に陥った状態だと思います。
自分では何も考えない、常に上司に正解を求めて仕事している経営幹部でので結果が出るはずもありません。
そんなある時、上司から経費Aを下げろと言われ、下げるように部下に指示をしました。
この経費Aは売上に直結する大事な経費で削減し過ぎたら売上が下がるのは相当理解していたつもりでしたが、下げるように部下に言ってからたった2か月間で売上はどんどん下がり、利益も激減していきました。
僕は自分を守る為に経営を無視して上司の指示通りにやってしまったが為に、大事な経費を下げ過ぎてしまったのです。
単に経費を下げれば評価になると勘違いしていたのです。
本当は利益を最大に出す事が求められているのに間違った決断で大失敗をしました。
この大失敗から1ヵ月後、ついに自分が統括していた組織から外され、1人も部下を持たない、何の責任も無い状態となってしまいました。
組織から外された僕の仕事は、上司(経営者)から指示を受けた数店舗に対して、業務を教えるアドバイザーとしての任務でした。
降格する恐怖に怯えた結果、降格=給料が減った状態が現実となってしまったのです。
経営は甘くありません。
自分の持っている莫大な責任は何が正しいか本質的に決断判断していかないと不利益になり、さらにはスタッフみんなも不幸にしてしまうものです。
それを自分の評価=収入、つまり自分を守った考えが強くなってしまったばかりに失敗した結果でした。
気付き
役職立場が変わって数ヵ月経ったある時、自分が結果を出していた過去を思い出してみました。
僕はそもそも自分で考えて結論を出し、行動するやり方をしていました。
うまくいくこともあったけど、失敗もあった。
何か腑に落ちない事は人に納得いくまで相談し考えていた。
成功した要因は何だったのか、失敗は何が原因だったのかを考え、そこからたくさんの事を学んだから成長し、結果が出ていたのだと。
ところが今の僕はどうだ。自分で考えて行動する事におびえ、否定されるのが恐怖で、上司からの評価を気にして自らを信じていない。
僕は恐怖におびえて、自分で自分を否定し自己嫌悪に陥っていたり、自信を無くしていたのだと思います。
こう考えているうちに1つの結論にたどり着きました。
『元の自分に戻ろう』と。
癖でつい、自分で決めた事に対して上司はどう評価するのか。と考えてしまう時も多くありましたが、どうせ評価が悪いなら自分の好きなようにやろう(勿論、無謀な事は控えますが)と少しずつ過去の自分を取り戻そうと動きました。(もはや開き直りです笑)
それからは上司の評価など気にするのをやめ、自分が正しいと思う事を行動していきました。
上司はどう思っているかわかりませんが、それからの僕は明るく元気になれたような気がします。
そうしていたら、元部下や周りから「最近、何か良い事ありましたか?」「なんか、楽しそうですね」など言われるようになり、接しているスタッフからも色々と相談されるようになりました。
上司からの『評価という恐怖』に怯えずに、常に自分の心の状態を一番に良くする事だと気付きました。
また、上司からの評価よりも、部下や周りの人から頼りにされているのか、信頼されているのか、組織はうまくいっているのか、このような事を意識するのが実は大事な事ではないかと思うようにもなりました。
それからの僕は関わる人へサポートできているか、何か困っていたり、悩んでいることはないかすごく気になるようになりました。
最後に
なぜ、評価=恐怖になったかというと『お金』の心配が大きかったと思います。
家族を守るために『お金』が必要だと。
収入=お金が減る恐怖から『何が正しいかではなく、誰が正しいか』で仕事をしていた事が今回の失敗だったと思います。
他人の評価に怯えた人生を歩んではいけない。自分の正しいと思う事をやればいい。うまくいかなくてもそこから何かを学べばいい。そしてその後には必ず成長が待っている。
『お金』に走った事で仕事の本質的な目的を見失ったのだと思います。
もし、僕が『お金』に走ったままでいたら今頃、家族をもっと不幸にしていかもしれません。
恐怖に怯える事よりも自分が良い状態=明るく前向きなプラス思考にならないと家族や他人へなど良い状態を与えられないのだと思います。
自分は何が楽しくて、嬉しくて、喜びなのか。
これが今回、学んだことであります。
僕の経験が参考になれば幸いです。
最後までありがとうございました。
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